エレベーターの利用状況

家の中に何もしない人間がいるだけでその不快感が、ますます本人を追い込んでしまうし、家族もしだいに消耗してきでしまう。
昨年ニートの若者による両親殺人事件が立て続けに二件起きたが、当時十九歳と二十八歳の犯人は、どちらも引きこもりで、仕事をしたことのない青年だった。 働かない状態というのは、本人にとっても、周りにとっても澱のように欝屈した感情が溜まっていく。
親の収入で経済的には困らないなら、働かなくていいではないかと思う人もいるかもしれないが、人は働かないと桶に汲んだ水のようによどんできてしまう。 動いていないとエネルギーはどんどんよどんで腐っていってしまう。

途轍もなく不愉快な身体だ。 働くことに踏み出せない人は、無気力で何も感じていないというよりは、むしろ、社会の中で自分が必要とされていないという不快さ、自分のエネルギーを燃焼させることのできない不全感を、心の奥底に煮えたぎらせていると思う。
あえて、その溜まりに溜まった不快さを直視してみてほしい。 そんな時期にこそ、これから私が伝える技としてのパッション力で、一歩踏み出してほしいと思う。
言葉とは恐ろしいものだ。 何気ないひと言が、その後の数十年、己をたきつける火種となり得る。
パッション力を上手に技化できると、生来持っているやる気とはまた違った次元のパワーが生まれてくる。 たとえば、何気ないひと言をパッションに変えてしまう方法だ。
私の体験を話すと、三十代前半でどうにかM大学の教員になり、これからをどう過ごそうかと練っている時期のことだった。 ある日、私はある経営者と雑談をしていて、「いずれは文部大臣をやろうと思っているのです」と言ったことがあった。
すると「ははは、バカを言ってはいけない」と一笑に付されたのである。 その人は決して悪意があったわけではなく、単なる常識で言ったことだと思う。
私は、やっと学者として職を見つけたとはいえ、長年の不全感が一触即発で煮えたぎっている厄介な若造だった。 そのときは平静を装っていたが、心の中では絶対に目にもの見せてやる」と、瞬時に自分のパッションに火をつけていた。
いつか文部大臣になってやる、というより、私が文部大臣に一番近くていい男だろうくらいに思って今日に至っている。 たとえ、言った当人が私に対して悪感情を持っていないことが明らかな普通のひと言である。
誰かに不当な侮蔑を受ければ、否が応でも、「目にもの見せてやる、十倍返しにしてやる」という怨念めいた気持ちが湧く。

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